エバーブルーテクノロジーズ 2020年振り返りと2021年の抱負

2mクラス自動操船ヨットType-Aのプロトタイプの開発、テストに追われた一年でした。

設計は2019年中に終わり、2020年1月から3Dプリンタによる打ち出し。1つのハルに数日、数週間かけて3つのハルを打ち出して艤装に入ったのは春。

最大の課題は防水、水密。そもそもFDM方式の3Dプリンタは編み物のように重ねていくため、その隙間から水がダダ漏れとなります。シーラント剤や防水ペンキ、さらにはシリコンコーキングなどを施し大きな水漏れに対応。

進水式は学芸大学の25mプールで行いました。浮かんで帆走するのをみると感無量になるもののすぐさま異変に気付きます。

「アレ、片側下がってない?」

すぐさま号令をかけて対岸で引き揚げ。すると片側のハルはほぼ水没状態、進水式ならぬ浸水式でした。原因は船底ユニットの接着不良。接着剤をつけたものの隙間があいており浸水してきたのです。

この対策をして3月末には葉山の小浜海岸にて海上テスト。課題は実験をやるたびに出てきます。現地での組立、調整が予想以上にかかり負担が大きいことも分かりました。強度不足、耐久性不足の部分も浮き彫りとなってきます。

そしてパンデミックにより外での実験がしばらくできなくなってしまいました。その間はローバー(四輪車)を使った陸上テストや、船体塗装。また有人のType-Xの設計などを進めます。

緊急事態宣言があけて、海上テストを再開。ところが警察官がやってきて事情聴取を受けます。

「なんちゃらポリスから密だと通報をうけまして」

警察官も自粛警察って使うんだと感心しつつも、エバーブルーテクノロジーズの社会理念や自動操船ヨットの意義について説明申し上げるとご理解いただけました。

2020年のハイライトは9月に開催されたジャパンドローン2020。

もともと3月開催予定だったものが9月末に延期され、これに合わせて我々は2mクラス自動操船ヨットType-Aプロトタイプの実機展示とシンガポールで研究開発を進めていた、固定翼機と帆船を組み合わせたType-Pコンセプトを映像展示。Type-Pは活動区域まで固定翼機として迅速に移動後、着水。その後は帆走することで長時間稼働を行うコンセプトモデルです。

また開発を開始したスマホアプリは距離無制限で遠隔からテレメトリー、自動操船、手動操船を可能とします。

これによりBest of Japan Drone Awardの審査員特別賞を受賞しました。ご協力して下さった皆様、本当にありがとうございました。

こういった開発はスケジュールは遅れることはあっても早まることはありません。なぜなら誰もやったことがない、経験がない取組だからです。誰も正解を知りません。試行錯誤をしながら経験を積むことだけが唯一の早道です。

開発がほぼ完了したType-Aの量産プロトタイプの設計はこれまた難航を極めました。量産コスト、オペレーションコスト、ロバストネスなどのファクターを意識しながらの設計は侃侃諤諤の議論を経て最終的にはまったく異なるアプローチのデザインを新たに設計することとなりました。

2021年は量産を前提とした新型機の開発と運用テスト、そして量産化を行う予定です。

またビジネス面での展開も急務です。Type-Aは魚探を中心とし、漁業用途や詳細海底地図(デプスマッピング)用途を前提としていましたが今後はセンサーを拡充、稼働時間も半日から夜間を含め数日まで想定した長時間化を行うことで、さまざまな用途に対応しビジネス面での導入を図っていきます。

風力をダイレクトに推進力に変える帆走を自動化することで、社会問題を解決する。2021年はその実現に向かって一歩一歩着実に歩む大事な年になると考えています。

これには皆様のご理解とご協力なくしては実現できません。

これまで海上テストは主に平日行われていましたが、コミュニティメンバーにも参加しやすい土日での実施も検討しています。また2019年に沖縄で行った1mクラス自動操船ヨットによるコンペティションも、社会情勢も鑑みながら開催検討中です。是非機会があれば一緒に活動にご参加下さい。

それでは本年もどうぞ宜しくお願いいたします。